加古川の民話絵本「どうまんの一つ火」原画展が4月3日から、加古川市立松風ギャラリー(加古川市野口町)で開かれている。
民話絵本「どうまんの一つ火」は、加古川市西神吉町岸に伝わる平安時代の物語でふるさとの絵本をつくる会が1980(昭和55)年3月に発行。陰陽道師の安倍晴明から教えを受け、後に師と並び称賛された同町生まれの芦屋道満の幼少時から陰陽道を会得するまでの成長の様子や、土地に残る名跡を舞台に残る逸話を描く。物語を担当したのは、加古川文化賞や勲五等瑞宝章などを受賞し、加古川市美術協会会長も務めた故山本槇一さん。作画は加古川文化賞や兵庫県ともしび賞、瑞宝双光章などを受賞し、加古川市美術協会副会長なども務めた故山本嘉彦さんが担当しており、市立図書館所蔵の中でも貴重な著書とされている。
今回の原画展で並ぶ26点の原画作品ついて、同ギャラリー館長の岩坂純一朗さんは、「お二人とも郷土の文化、芸術に功績を残しており、原画を市に寄贈することを依頼した。一点も失うことなく残っているのは奇跡なのかもしれない」と話す。
企画担当の東条美咲さんは「点で描写した線に沿って、水彩絵具で色付けの有り無しでコントラストが表現しており、絵が醸し出す力がすごいと感じる。加古川出身者でも、このような民話があることを知らない世代が多くなった。芸術文化振興、教育に尽力されたお二人のことを知ってもらいたい」と話す。
開催時間は9時~17時。入場無料。4月21日まで。