富士コンピュータ(加古川市加古川町、TEL 079-420-2020)が、介護支援コミュニケーションロボット開発を手掛けてから1年2カ月がたち、今年1月テスト段階を迎えた。
2018(平成30)年11月、福島産業復興支援の一環である国家プロジェクトに採択された同社AI技術研究所は、福島テストフィールド(福島県南相馬市)を拠点にロボット新事業として総勢約25人の研究開発チームを立ち上げた。
同社に併設する通信制高校「相生学院高校」の理事長も兼任する社長の森和明さんは「被災した福島県で産業を興すことで雇用も生み出す。3年間の母親の介護体験をもとに、ロボットと会話することで高齢者の認知症を防ぎ、脳を活性化できるようAI(人工知能)の技術を生かしたい」と話す。
クマのぬいぐるみ型AIロボット「フクちゃん3号」は、カメラ、マイク、AIシステムを搭載。介護を受ける側の趣味嗜好(しこう)や経験に応じた会話をする。話し掛けると豆知識などを交えながら雑談でき、新たな会話も学習していく。首や手を振り、背負っているリュックにWi-Fiを備え付け、今後は立って歩く予定だという。
プロジェクトマネジャーの名生安さんは「介護施設でのAIロボットのデモや介護ボランティアを経験してみたが、介護士は身体介助が忙しいため、要介護者と一日中ゆっくりと会話する暇もなく、ロボットを活用できればお互いにありがたい」と話す。
三次元キャド(3DCAD)でハード部分の部品を自社製作していたが、耐久性が弱いプラスチックからブリキ製へ変更して部品の強度を高めるため、地元企業が製作協力する。1体約25万円で販売を予定し、地元の介護施設でも注文を受けているという。
森さんは「地域社会から世界へ。医学分野で貢献したい。まずはAIロボット開発を具体化して一歩ずつ進みたい」と意気込む。