加古川のショッピングセンター「イオン加古川店」(加古川市平岡町)内の専門店66店舗が3月から、聴覚障がいなどを持った来店客に向けて「筆談ボード」を設置した。
筆談ボードは聴覚障がい者のほか、耳の遠い高齢者など声でのコミュニケーションが難しい来店客に対応するために設置した。設置には加古川市の「加古川市合理的配慮の提供の促進にかかる助成金」を活用。設置店のレジ前には、設置を示すステッカーを掲示する。
筆談ボードを設置した宝飾店の女性は「他のお客さまと変わらず、どんな商品をお探しなのか、好みは何かなどをお聞きする。安心して店に来てもらえるよう頑張りたい」と笑顔を見せる。
イオン加古川店の中浜豊さんは「飲食店や衣料品店など、業種の広い専門店は買い物を楽しむ方も多い。筆談ボードの設置は地域貢献にも店の利用にもつながる。障がいを持っている方も積極的に買い物に来てほしい」と話す。
自身も足に障がいを持つ中浜さん。「外出先で倒れて起き上がれなかった際、通りがかった人たちに助けられた経験がある。家から出ても誰かが助けてくれると思った」と話す。「障がいを持ったばかりの人は特に外出しにくい。目が見えない、話ができないなど、いろんな辛さがあるが、辛いと言いにくい辛さもある。健常者の方にも目を向けてもらえれば」とも。
加古川市障がい者支援課によると、加古川市内の障害者手帳の所有者は約1万3000人(2018年3月31日時点)。
同課の本田勇介さんと寺本千鶴さんは「助成金は市内の個人店でも申請できる。今まで筆談ボードのほか、点字メニューや折り畳みスロープの購入、手すりの設置などの実績がある。個人店の利用も後押しできれば」と話す。審査の後に物品を購入し、確認できれば助成金を支給する。審査は1週間程度だという。
中浜さんは「今後はチラシにどの店で筆談ボードが使えるかを分かるように掲載したい。今回の取り組みを成功事例にして、他の店にも広がれば」と期待を込める。