加古川在住の作家・玉岡かおるさんが8月26日、高砂ゆかりの偉人「工楽松右衛門」を主人公とした小説「帆神 北前船を馳(は)せた男 工楽松右衛門」(新潮社)を出版した。
工楽松右衛門は、1743(寛保3)年高砂生まれの人物。海運や港湾改修を行い、船の帆に使う丈夫な帆布「松右衛門帆」を発明するなどで、商品を売買しながら日本海を航行した北前船の発展に大きな影響を与えたとされる。
物語は、船頭として名を上げた松右衛門が、苦労の末に松右衛門帆を完成させ、江戸時代の海運を一変させるという流れになっており、その裏で彼を支えた4人の女性を描いている。玉岡さんの作品で男性を主人公に据えたのは同作が初めて。松右衛門の生涯は不明な点も多く、フィクションを織り交ぜながら仕上げている。
玉岡さんは「時代の波に埋もれてしまっている私たちの偉大なる先人。彼がどのように生き、どのように前に進み、そして何を残して波間に消えていったか、それをくみ取ってもらいたい。故郷に対する誇りを思い出してもらえるのではないか」と話した。
価格は2,200円。