伊保漁港沿岸の養殖カキが2月3日、水揚げされた。
伊保漁業協同組合水産研究会が、主力となる船びき網の漁閑期や小型底引き網の漁獲が少ない冬期の漁業振興を図るため、2014(平成26)年にカキの養殖への取り組みを始め、養殖試験、区画漁業の免許申請、生食用カキを出荷するための清浄海域の指定の取得など6年間の取り組みを経て収穫を迎えた。
収穫したカキはバスケット式によるシングルシード養殖で育てられたマガキで、深みのあるカップ形の殻が特徴。収穫時にフジツボなどの付着物からカキを外すといった剥離作業がないため生産性が高く、カキの生育も安定するといわれている。「伊保漁港は島陰がなく季節風の影響が強い。養殖試験の結果も踏まえて、国内で広く見られる紐につるして育てるつり線式ではなく、シングルシード養殖が適しているのではないかと推察し、養殖技術が確立されているオーストラリアで養殖現場の視察や情報交換、技術習得を行って養殖方法を決定した」と同研究会メンバーの大西正起さんは話す。
今回は6個のバスケットから約.8.5キロのカキを収穫し、翌日の関係者が集まるお披露目会で試食。他地区で収穫されたカキとの食べ比べなども行った。「しっかりとした実入りが確認できた。これまでの活動の甲斐がありうれしい。今シーズンは、約5千個の収穫を目指している。今後は地元の方にはもちろん、全国の方にも高砂のカキを食べてもらうことができるように収穫量を増やしていきたい」と大西さんは意気込む。