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「高砂染」、UAEの国際ブックフェアに出展 伝説の幕府献上品、海外でお披露目

シャルジャ国際ブックフェアでの子ども向けワークショップの様子

シャルジャ国際ブックフェアでの子ども向けワークショップの様子

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 約100年前に失われた姫路藩の幕府献上品「高砂染」が、アラブ首長国連邦(UAE)のシャルジャで開催された第37回シャルジャ国際ブックフェア(10月31日~11月10日)に出展された。

出展に合わせた新作浴衣を披露する尾崎恵美さん

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 同フェアは世界でも有数の本の見本市。今年は日本が名誉招待国となり、現地ではジャパンパビリオンも開設。日本の文化や芸能を幅広く紹介した。今回、日本に目を向けてもらおうと国際交流活動を行う神戸元町インバウンド協議会からの誘いで「高砂染」が海を渡ることになり、初の海外進出を果たしたという。

 現地で出展を手掛けたのは、2017年にクラウドファウンディングで資金調達し「高砂染」の再興を行うエモズティラボ社長の寄玉昌宏さんと、同社の取締役相談役で「高砂染」創業家の一つ「尾崎家」の第17代目、尾崎高弘さんの妻・尾崎恵美さん。

 恵美さんは、この出展のために制作した赤の松模様と黒のチョウを重ねた新作浴衣を現地でのユニホームとして身にまとい、江戸時代の技法で復刻した幕府献上品と同仕様の絹着物と共に披露した。同時に高砂染手法を用いた子ども向け染め物ワークショップなども行い、日本の伝統文化として「高砂染」が華やかさを添えた。

 高弘さんは「高砂染めは時代の流れにより、数奇な運命をたどった」と話す。「徳川家筆頭祝言曲であった『高砂』の祝いの心を具現化し、無限連続する抽象的な松模様に、吉祥紋を重ねる表現が特徴」とも。

 「長い歴史があり、高砂染の定義は人によって異なるかもしれないが、創業家の一つとしてはこれからも威厳と格式が最高級とされた時代のものを追い続けていきたい。場所や技法だけでなく、最も敬意を払うべきなのは高砂神社の『相生の松』を原点とし『ことほぎ』の精神を伝える存在であること」と高弘さんは話す。

 恵美さんは「ワークショップでは300人を超える子どもたちが型染めにとても関心を持ってくれて、準備していた教材が足りないくらいだった。会場だけでなく、ドバイでも高砂染浴衣を着て、まちを散策したところ皆さん興味津々で、海外メディアの取材も受けて世界の皆さんに高砂染をしってもらう一歩になった」と現地での様子を話す。

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