加古川の郷土史愛好家、渡邊五郎さんが4月28日、地元の歴史を案内する「ミニ探訪」のガイドボランティアを始めた。
同イベントは参加者と共に市内の史跡を巡り、渡邊さんが文献や取材から得た歴史的背景などを分かりやすく説明するというもの。初回となる同日には約90人が参加し、秀吉が軍議を開いたとされる加古川城跡(称名寺)と昭和モダニズムを代表する西洋建築とされる市立加古川図書館を巡った。渡邊さんは「大勢だったこともあるが、説明時には参加者の皆さんが自分のすぐそばまで近寄り、説明を一生懸命聞いてくれたことがうれしかった」と笑顔を見せる。
「もともと歴史には興味がなかった。地元の公民館で開催された地域学の講座に誘われたことがきっかけで2012年に受講生らとガイドボランティアのグループを立ち上げた」と渡邊さん。昨春、体調を崩したことでグループから退いたが「自身が習得した知識を地元の方々に伝え、伝承の輪を広げることで地域への愛着を深めていきたい」との思いから個人での活動再開に向け準備を進めてきた。
渡邊さんは「資料の作成は縁のある地元住民や寺などへ、飛び込み取材をして情報を集めた。苦労も多かったが、伝説として伝わっていたことが実話だったことや、石碑に刻まれた文字を解読したことで分かった事実など、文献にも記載されていない面白い話や興味をそそる話が聞けた時はうれしかった」と魅力を話す。
「生まれ育った土地の歴史を知ることは、地域への愛着が増すことにもなる。参加者が地域の皆さんにさらに広めてもらうことで愛着が深まり、地域の結束力が強くなればうれしい。地元の歴史ロマンを自分なりに想像しながら先人たちの思いや生きざまの片りんに触れてもらえれば。散歩がてら気軽にどうぞ」と参加を呼び掛ける。
今後は毎月第4土曜の10時から約1時間程度をかけて2カ所を巡る。参加対象者は主に「地元の方」としているが遠隔地に住む知人などの勧誘も歓迎するという。2018年度の予定表はJR加古川駅構内「まち案内所」で入手できる。
参加無料。申し込み不要。希望者は指定場所に当日集合。