姫路藩のお抱え能楽師だった江崎家の当主・江崎欽次朗さんが10月24日、明治時代の「高砂染」狂言衣装を復元させた。
復元の参考にした古い高砂染の狂言衣装は、高砂染の創業家の一つで尾崎家の当主・尾崎高弘さんが所有。「復元できたら面白い。古い衣装はかなり劣化していて、このままでは伝統と歴史が朽ちてしまう」と考えた江崎さんが尾崎さんに衣装の復元を申し出た。
「高砂染」では、高砂神社にある「相生の松」がモチーフの松の葉模様に竹ぼうきや熊手、松かさなどの縁起物が重ねて染める。今回復元した衣装もその伝統に倣い、依頼した京都の能衣装店が約半年で完成させた。
10月26日に高砂神社(高砂市高砂町)で上演された「能・高砂」では、狂言師の茂山千五郎さんが復元された衣装を着用し舞台へ上がった。舞台を終えた茂山さんは「能・高砂の舞台となった高砂神社で演じさせてもらえたのは本当にありがたく、身の引き締まる思いだった。衣装はとてもカラフルで色合いもよく、今日の舞台に映えていたのでは」と話した。来場した女性は「高砂染は近くで見ると昔の伝統を守っていてよかった」と話した。
復元された衣装を現在、「高砂や」(高砂市高砂町)で展示している。11月30日まで。見学申し込みは尾崎さん(TEL 090-3056-2344)まで。