高砂神社の秋祭りで3年に1度執り行われる神事「舟渡御(ふなとぎょ)」に向け、準備が進んでいる。
「舟渡御」はみこしを舟に載せ沖合で大漁や安全を祈願する神事で800年以上前から続くとされている。1960(昭和35)年に中断したが、伝統を伝えようと1985(昭和60)年に復活。1995(平成7)年から経済的な理由で3年に1度となっている。神事では神社を出発したみこしが「千歳楽(せんざいらく)、万歳楽(まんざいらく)」と健康長寿や平和を願うはやしをうたいながら町内を巡行し、堀川で舟積みを行った後、約1時間かけて高砂港を往復する。
10月5日にはみこしを載せる「御座舟(ござぶね)」の製作が行われた。「御座舟」は2艇の舟を横並びで組み合わせたもので、木材でつなぎ合わせて板を敷くなど、例年神事の当番地区の氏子らによって作られる。今年はみこし奉仕町の鍵町地区が中心となり、舟積み奉仕町の東宮町地区と水揚げ奉仕町の中部地区、その他の地区の氏子や漁師ら約60人で作業に当たり、約4時間かけて完成した。指揮を執った鍵町の秋祭り実行委員長の石山博章さんは「組み立て方は過去の動画を見るなどして全員予習済み。おかげで大きなトラブルもなくスムーズに完成した」と話す。
今後は8日に舟の四方にササとしめ縄を張り、ちょうちんを飾る予定という。鍵町の氏子総代の長谷川広さんは「偶然にも新元号に変わった今年に奉仕できる。おめでたいことなので派手にやりたい」と話し、「みこしを舟に載せる瞬間は見応えがある」とも。石山さんは「鍵町としては10年ぶりにみこし奉仕町に当たった。記憶に残り次につながる祭りにしていきたい」と意気込む。
「舟渡御」は10月10日の神幸祭で行われる。16時30分ごろにみこし奉仕町から舟積み奉仕町にみこしを引き継ぎ、17時15分ごろに堀川で舟積み。18時30分ごろに水揚げ奉仕町によって陸に上がる予定。11日の例大祭では屋台太鼓の宮入りや屋台の練り合わせが行われる。