加古川市を中心にクリーニング業を経営する「エース化研 ホワイト急便」が1月1日、社名を「ACE(エース)」に変更した。同社は子育て中の女性が、子どもと一緒にクリーニング店やコインランドリーで働ける仕組みを意欲的に整備している。
子ども同伴勤務の環境整備を進めるのは、同社2代目社長の山口明大さん。山口さんは「両親が共働きだと子どもが独りでいる時間が多くなってしまう。子どもは母親と一緒にいて愛情を受けとめてほしい。よく保育園などに『預ける』ことばかり議論されるが、一緒に働く環境が社会に求められているのではないか」と話す。職場となるコインランドリーは子どもが楽しめるようなカラフルな内装にし、育児室も設けた。
「きっかけは新型コロナウイルスの流行だった」と山口さん。緊急事態宣言などで休校が相次いだ際に、働き手がいなくなることに危機感を感じた山口さんは「ええから(子どもも)連れてきて」と子連れ出勤を決断した。「元々くすぶっていた思いがこの機に具体化できた。補償金がもらえるかどうかではなく、従業員が働けなくなるとお客さんも店も困る」と話す。
従業員の松永佳子さんは「昔では考えられない。子どもがいるから我慢していたこともあったので、これってすごいことだと感動した」と話す。
決断のベースには「誠実に、家族に誇れる私を、末永く」という2年前に作った会社の経営理念があったという。「なぜ会社をしているのか分からなくなった時期があった。今までを振り返り理念を作った今では軸が定まった」と山口さん。ACEのロゴも理念をモチーフにしている。
山口さんは「理念を従業員がみんな知っているのがうちの強み。理念に近づくために、地域で存在意義のある、お客さんにも従業員にも誠実な会社にしたい。お客さんにここに来てよかったと思われる『洗濯屋さんの星』になりたい」と意気込む。