「播磨国造社」の歴史事業の一つとして、東播磨地域を中心に甲冑(かっちゅう)製作などを手掛ける「武楽衆」(明石市)が3月、野口城主・長井政重公の甲冑を完成させた。
甲冑や陣羽織などのオーダー製作や戦国時代のTシャツなどのグッズ販売、戦国時代を体感できるイベント企画、自分が巡った史跡を登録できるサイト「戦国記録帳」を運営している同ブランド。今回の長井政重公の甲冑の製作は加古川城主粗谷武則に次いで2領目。昨年11月から取り掛かり約4カ月かけて完成させた。
同ブランドを手掛ける播磨国造社代表の藤井淳さんは「長井政重公がどんな人物なのか、情報が少なかった。長井政重公が戦う様子が書かれている書物『播州太平記』の中の『城主長井邦時は黒糸威しの鎧にかちん(濃い紺色)のひたたれ頭形の兜(かぶと)を猪首に着なし、赤胴作りの刀帯びて、黒たくましき馬に…』とある文章だけを頼りに、想像して製作した」と話す。「文章に黒いと書かれている部分があるが、全体的にシックなので、いかに映えるようにするか工夫した」とも。
「長井政重公であることをどう表現するかが難しかった。共に外的と戦った加古川の教信寺との関わりを表現するため、当時浄土宗西山禅林寺派だったと思われる同寺の寺紋『竜胆車』を使ったり、長井政重公が安芸毛利家と同じ大江氏が祖先という説があるので「一文字に三つ星」の家紋を使ったりした」と藤井さん。
藤井さんは「次は、加古川の神吉城主の神吉頼定の甲冑に取り掛かっている。いろいろなイベントへの参加や企画を通し、地元にはこんな人たちがいたという事を知ってもらえたら。加古川だけでなく三木や明石も含めて東播地域を盛り上げたい。一緒に加古川をPRできる人も募っている」と話す。