地元に残された歴史や民話を手作りの紙芝居で語り継ぐ「志方歴史ボランティアの会」がこのほど、活動をスタートさせてから156回目の上演で、観客数延べ1万人を達成した。
同団体は2013年4月に発足。地元公民館で歴史講座の講師を行っていた三村隆子さんが受講生に呼び掛けたことがきっかけ。現在では11人が活動している。
紙芝居は、これまで黒田官兵衛の妻「光姫」や播磨富士で知られる「高御位山」など、加古川市志方町にまつわる歴史を題材にした計5作品を制作。手作りの紙芝居は、代表の三村さんが郷土史研究家などへ取材しストーリーや文章を手掛け、友人の内田朋子さんが鉛筆で絵を描き、会員が手分けをして水彩絵の具で色つけを行う。
これまでの上演では、加古川市を中心に幼稚園や小学校、敬老会などに出向いて披露しており、地元の「しかた幼稚園」では、園児が実際に高御位山に登る前に紙芝居で歴史を学ぶ機会に上演して好評を博している。最近では文章表現を子ども、大人向けと使い分けて幅広い年齢層が楽しめるよう工夫しているという。1作品20枚程度の物語で、大人であれば20分、子どもは12分ほどの内容となる。
代表の三村隆子さんは「みなさんが依頼してくれたからこそ1万人の前で上演できた。東播磨にはまだたくさんの物語が残っているので、今後も次世代に引き継いでいきたい」と話す。
現在、日岡町をテーマに6作目の創作を手掛けており、来年3月の完成を見込んでいる。「これからも地域住民たちに身近な地域の歴史を伝承していきたい」と三村さんは意気込む。