加古川西公民館(加古川市米田町)で11月1日、専門家やボランティアらの手で整理された「稲岡工業株式会社文書」の報告会が開催された。
同文書群は2012年に120年の歴史を閉じ、近代の綿産業を支えた加古川の会社「稲岡工業」が、江戸時代後期から経営破たんした2012年まで生成・保存していたもの。近年、「稲岡工業株式会社文書」保存会を結成し、文書の整理が進められてきた。
報告会の当日、同文書保存会の小林誠司さんによる「稲岡工業株式会社文書の保存と活用」をはじめ、「旧印南郡と旧加古郡における木綿生産」、「古文書の保存と整理」、「日本の公的記録と地域資料」などをテーマに各講師が講演した。
小林さんは「江戸から平成までの資料がタイムカプセルのように一括で残っていることは珍しい。資料の中には昭和初期の大阪駅の資料や東北の資料などがあり、地元だけではなく当時の各地の歴史を見ることができるのでは」と話す。
旧稲岡工業敷地内の倉庫や蔵に保管されていた文書群は数百箱に上るため、全容はまだわかっていないが、江戸期からの木綿の生産・販売動向やタオル製品、靴下産業へ発展した経緯を知る貴重な資料という。
「文書は保存しないと活用できない。活用するためには保存しないといけない。保存と活用を両輪で行っていきたい」と小林さんは話す。
文書の問い合わせは、「稲岡工業株式会社文書」保存会(TEL 079-432-0956)まで。