稲美町民が参加するオリジナルミュージカル「龍をあむ」が3月31日、稲美町コスモホール(稲美町国安)で上演される。
「龍をあむ」は、約120年にわたる疎水の歴史をベースに、作物の育ちにくい乾いた赤い台地のいなみ野へ水を引くために奔走した先人たちの物語。
企画の発起人でもある稲美舞台芸術文化育成事業実行委員会代表の中谷範之さんは、13年前にまちづくりの一環として稲美町内を案内するバスツアーを企画。その際に改めて歴史を調べると、稲美町は台地でもともと水が不足しており、水の権利を求めて村と村の争いが絶えなかったため、自分たちで水路を引こうと農民が声を上げて行動した歴史があったことを知り、「この話を物語にして舞台で上演したらいいのではと思った」と中谷さん。
『龍をあむ』のタイトルの『龍』は水路を表す。水路をつくるサイフォン技術は水路が川や谷などで分断されるとき、U字に迂回し水を送る。「その水路がまさしく龍のような形になっている」と中谷さん。『あむ』は水を引くためにたくさんの人が携わり、絡まるように人がつながり水路を造ることを表している。
「当時、県へ嘆願書を提出するときには家族と水杯を交わし、帰ってこれないという覚悟で持参したという話も聞いた。そんな先人たちの思いやパワーを感じてほしい。もっと地元を好きになるためにもぜひ、見に来てほしい」と呼びかける。
開演は12時と16時30分の2回。料金は、前売り=一般1,500円・中学生以下500円、当日=一般2,000円・中学生以下1,000円。