謡曲高砂の「相生松」や「尉(じょう)と姥(うば)」で親しまれている高砂神社(高砂市高砂町)が、初詣の振る舞いとして干支(えと)のデザインが入った神盃(しんぱい)を参拝者に授与する。毎年恒例となり、これを楽しみに十二支コレクションが何周目かになる氏子もいるという。
現在、高砂神社本殿では昨年の台風により損傷を受けた檜皮(ひわだ)ぶき屋根の改修も44年ぶりに進められている中、新年を迎える準備が進められており、正月期間にお札やお守りの授与を奉仕するみこへの案内の最中。来年の干支、子(ね)が浮き彫りでデザインされた純白の神盃も準備が整い、先着の約600人にお神酒(甘酒)と共に振る舞われる。
参拝の作法や順序については神社や祭神、時代や土地柄により諸説あるが、どこでも変わらず、尊ぶべき点として「必ず手水(ちょうず)舎にて心と体を清め、ご神前に供えること。複数回の拝礼に代表されるように、崇高で神聖なる相手には『重ねる』という気持ちが大切」と小松守道宮司は話す。「礼節を重んじる方の中には境内を後にする際にも、再度手水舎で清める方もいる」という。
小松宮司によると、一年の幸せを祈り、正月に迎える本来の神様といわれ、先祖の霊の意味を持つ歳神(としがみ)様(歳徳神)の在する方位とされる来年の恵方は西南西。「本殿の左手に祭ってあるので、忘れずにお参りして福を頂いてほしい」と呼び掛ける。
そのほか、市内各神社、曽根天満宮(高砂市曽根町)では5000人に秋祭りカレンダーの配布、荒井神社(高砂市荒井町)のほくほく焼き芋の振る舞いなどが催され、生石神社(阿弥陀町)では、年々趣向が凝らされる「前衛派デザイナーズ門松」が初詣の参拝者を迎える。