日本酒ブランド「SAKE HUNDRED(サケハンドレッド)」(運営:株式会社Clear/東京都渋谷区 代表取締役CEO:生駒龍史)は、兵庫県と神戸市の震災30年事業に共感し、この30年を未来に繋いでいくための企画を年間を通して実施しています。その活動の一貫として、神戸松蔭大学、および神戸学院大学とともに、産官学が連携しての共同研究「灘の蔵・30年熟成酒の想いを未来に繋ぐプロジェクト」を4月から開始しており、中間発表会を7月18日に兵庫国際交流会館で行いました。学生によるお酒の官能評価や、震災当時についてのプレインタビューの様子などが発表され、翌年1月の最終発表会に向けた取り組みへの意欲を新たにしました。
共同研究「灘の蔵・30年熟成酒の想いを未来に繋ぐプロジェクト」中間発表会を開催
世界中の人々の『心を満たし、人生を彩る』ことをブランドパーパスに掲げる日本酒ブランド「SAKE HUNDRED(サケハンドレッド)」は、阪神・淡路大震災にゆかりの深い『現外(げんがい)』という30年熟成 ヴィンテージ日本酒をラインナップしています。
『現外』の醸造パートナーである沢の鶴が蔵を構える神戸市は、「神戸の魅力は人である」という想いを集約したシビックプライド・メッセージ「BE KOBE」に「震災30年を未来につなぐ-持続可能なグローバル貢献都市へ-」を附記したメッセージを発表しています。
神戸の「人の意志」によって生み出された『現外』を有するSAKE HUNDREDもこの想いに共感し、辛い状況から人々の強い意志と希望により発展していった震災からの30年を活かし、未来に繋いでいく企画を、年間を通して実施しています。
この活動の一貫として今回SAKE HUNDREDは、大学コンソーシアムひょうご神戸(※1)の「企業課題解決プログラム」を活用し、神戸松蔭大学(※2)および神戸学院大学(※3)とともに共同研究を4月から開始しています。「現外が持つストーリーを未来につなぎ、寄り添う伝え方とは」という課題に両大学の学生35人が取り組み、沢の鶴などの灘五郷の酒蔵の訪問や、日本酒の市場動向の調査、震災当時についてのインタビューを行うなどして活動を進めてきました。その中間発表会を、7月18日に兵庫国際交流会館で行いました。中間発表会では、神戸松蔭大学と神戸学院大学それぞれの学生が、これまでの活動の報告と学生自身の学び、今後の取り組み予定を発表しました。
※1 大学コンソーシアムひょうご神戸 https://consortium-hyogo.jp/
兵庫県下大学学長会議に端を発する、2006年に設立された団体です。「県下すべての大学による、すべての大学のためのプラットフォーム」として、大学間連携・産官学連携で多様な学びをともに創造し、「若者が育ち、活躍する兵庫」というメッセージを発信しています。
※2 神戸松蔭大学 https://www.shoin.ac.jp/
※3 神戸学院大学 https://www.kobegakuin.ac.jp/
共同研究プロジェクト「灘の蔵・30年熟成酒の想いを未来に繋ぐプロジェクト」
共同研究1)神戸松蔭大学・川口ゼミプロジェクト震災経験の風化を危機に感じ、学生目線で震災を考え神戸の未来をつくり上げることを狙う
神戸松蔭大学は、阪神・淡路大震災で被害が甚大だった灘区にあります。震災から30年が経過し、学生たちにとって30年前の神戸の街の様子が、映像でしか知らない風景となったことを大学側として課題に感じていました。この度の取り組みによって、地元・神戸の過去・現在を学生の目線で考え、神戸の未来を作り上げていく大きなきっかけになることを目指し、川口真規子准教授(※4)が当プログラムへの参加を決定。ゼミ生である沢田佳乃子氏が論文研究の題材として手を上げ、17名のゼミ生の中心となって研究を進めることになりました。川口准教授は、食ビジネス、発酵学、官能評価を専門としており、沢田氏も食品官能評価の手法を学んでいます。
※4 川口真規子准教授
https://gyoseki.acoffice.jp/kswhp/KgApp/k03/resid/S000047
中間発表では沢田氏が「現外の物語を私たちの言葉で伝えたい」と取り組みへの意欲を語り、『現外』の官能評価と阪神・淡路大震災の被害、および震災復興の取り組みに関する調査を行い、6月22日に訪問した『現外』の製造者である沢の鶴株式会社 取締役 製造部部長 西向賞雄氏へのインタビューの様子を発表しました。
インタビューでは、『現外』が熟成し始めてから今に至るまで、造り手にとってどのような存在に変化したかを西向氏に質問しました。「廃棄せずに熟成し続けて良かったと思えるお酒。Clearとの協業により、最良な方法でお客様に届けてくれた」と品質維持の大変さとともに話を聞いた沢田氏は、震災後にやらなければならないことがたくさんあった中、『現外』が神秘的な味わいになるまで維持した沢の鶴の努力に非常に驚いたと発表しました。
また、「今後の味わいの予測は不可能。味わいが変わり、『現外』の素晴らしい価値をお届けできなくなった場合は販売を見送る可能性がある」という西向氏の話を聞き、沢田氏は『現外』について繊細で儚い存在だと感じたと同時に、今後の変化に好奇心を湧かせる魅力的なお酒、と感想を述べていました。
今後の取り組みについて、これらの調査を継続して行うとともに、そこから得た情報を学生自身の心のフィルターを通して人々に伝えるための、リーフレットの作成を提案しました。
共同研究2)神戸学院大学・木暮ゼミプロジェクト「灘の酒リブランディング」に取り組む中で『現外』が持つシンボル的な意味と価値を探ること
神戸学院大学経済学部 木暮衣里准教授(※5)のゼミは、2025年度から産官学連携による「灘の酒リブランディング・プロジェクト」に取り組んでいます。その一環としてSAKE HUNDREDとの共同研究に手を上げました。震災と復興を乗り越えて誕生した30年熟成の『現外』が持つシンボル的な意味と価値を探り、「希望の灯」としてのストーリーを未来に繋ぐために必要となる取り組みや発信の方法について研究しています。
木暮准教授は企業・組織、都市・地域のブランド構築などを専門としており、学生はヒアリング、アンケート等で調査・分析し、課題を抽出した後、アウトプットとしての企画を検討し、実施を目指しています。
※5 木暮衣里准教授
https://kenkyu-web.kobegakuin.ac.jp/Profiles/1/0000061/profile.html
中間発表では、木暮ゼミの3年次生18名を代表して5名が登壇。「灘の酒リブランディング」での取り組みから得た知見、沢の鶴への訪問と『現外』の試飲、プレインタビュー結果等から、『現外』が持つ価値についての発表を行いました。
学生は『現外』の価値について、「沢の鶴が時代を超えて長くつないできた“価値”」と「小さな希望を分かち合える“価値”」のふたつがあると発表しました。神戸学院大学の学生による、阪神・淡路大震災当時についてのプレインタビュー
前者について、搾りたてのフレッシュな日本酒が主流となっている中で敢えて熟成酒の研究に取り組む沢の鶴の姿勢や、『現外』のもととなるお酒を20年以上も見守り続けてきた会社としての決断、SAKE HUNDREDの生駒社長との出会いで世に出ることができたことなどから、地元企業である沢の鶴が創業から300年もの長きにわたり紡いてきた努力がセレンディピティを引き寄せたとと発表。長い時間をかけて真面目に自分たちらしい酒造りを追求してきたことに「時の女神」が微笑んだお酒であると述べました。
後者については、「灘の酒リブランディング」の一環で灘五郷の他3蔵を訪れた学びから得た考えでした。各社が甚大な被害を受けた中でも、それぞれに「小さな希望の灯」を頼りに歩を進めてきた様子を発表。被災した資料館の復興や、倒壊した建物の木材の再活用などを行なっています。このような多くの方々の「小さな希望の灯」を集めることで、より深い“価値”を共創できるブランド・コミュニティーが構築できるのではと、今後の取り組みと合わせて提案しました。