兵庫県立松陽高校の学生が防災備蓄パン「松の陽だまりパン」を開発し、阪神・淡路大震災発生から25周年に合わせてPR活動にまい進している。
「松の陽だまりパン」は同校が行う防災教育と商業科の商品開発の授業を受ける生徒たちが、災害支援につながる商品を作ろうと2017(平成29)年から取り組み、昨年7月に商品化している。2018(平成30)年の西日本豪雨でボランティア活動を行った生徒が、体調不良や便秘になる人が多いことを知り、食物繊維が豊富なブルーベリーを生地に練り込んだ。「災害食はおいしくない」というイメージを払しょくするために「焼きたてのようにおいしく、フワフワ食感の防災備蓄パン」を作ろうと試行錯誤。3年の長期保存が可能な缶詰パンを完成させた。
1月13日には荒井公民館(高砂市荒井町)で行われた「1.17は忘れない あらい集会」に招かれ、地域住民に向けてプレゼンを行った。練り込んだブルーベリーの作用として心臓血管機能の向上や腸内を整え肉体疲労の回復も期待できることなどを発表した。来場者に試食用のパンも振る舞った。
パンを試食したに男性は「柔らかくてとても食べやすい。甘いので子どももおやつ感覚で喜んで口にするのでは」と笑顔を見せる。集会を主催した防災リーダーたかさごの井端正晴さんは「缶詰パンというと固くて食べにくいという偏見があったがおいしかった。若い人たちの発想で防災や減災に取り組む姿に感心した」と話す。同校の女子生徒は「おいしい非常食があるということをしっかりPRできた。アレルギー対応や高齢者、乳幼児への配慮など課題も見つかったので、今後も開発に取り組んでいきたい」と意気込む。
同校は1月17日にHAT神戸(神戸市中央区)で行われる「ひょうご安全の日のつどい」で展示販売ブースを設けるほか、18日にはデュオ神戸(神戸市中央区)で「震災をつなぐ・伝えるフォーラム」に参加し、取り組みの事例発表を行うという。