高砂市総合防災訓練が11月4日、高砂市立伊保南小学校(高砂市梅井2)で行われ、高校生が開発した食物繊維が入った保存食となるパンの缶詰「はりまパン」50食を配布した。
同訓練は、大規模地震による同時多発災害に対し迅速な災害応急体制の確立を目指すことを目的に毎年、コミュニティー防災拠点となる小学校で行っている。訓練では住民の避難訓や初動体制、情報伝達訓練。消防、警察が参加する救出訓練や地元企業がドローンを用いた情報伝達訓練などを行った。
防災意識を向上するブースも出展し、今回初めて県立松陽高校(高砂市曽根町)の防災ジュニアリーダー6人と商業科の生徒で開発した保存食「はりまパン」を配布。食べた感想などを兵庫大学(加古川市平岡町)の現代ビジネス学科の生徒と協力しアンケート調査を行った。
このパンは、防災ジュニアリーダーが7月、豪雨災害に見舞われた岡山県に災害ボランティアとして訪問した時に「野菜を食べることができない。便秘がひどくなった」など、被災者から寄せられた意見を取り入れパンに野菜を入れることを発案。市内のパン製造店と協力し、カボチャを練り込み3年間保存ができるパンの缶詰「はりまパン」を完成させた。
松陽高校の田中柚里さん(2年)は「被災地を訪れた後、自分たちに何ができるかを考え災害食を開発した。想像以上においしいと言われてうれしい」と話す。北川欽一教諭は「『はりまパン』の開発で地域との関わりが増え生徒たちのコミュニケーション能力も上がった」と話す。
松陽高校の取り組みでは保存できる「にゅうめん」の商品開発も検討中で、高砂いづみ会のメンバーが炊き出し訓練として「にゅうめん」も配布した。
高砂市国際交流協会を通じて今回初めて3人の外国人が参加。言葉の問題で状況を把握しにくい外国人が避難時にどのように行動したらいいかを想定して避難所開設訓練や初期消火訓練を行った。高砂市企画総務部危機管理室室長の川平篤成さんは「訓練は初期体制を確認でき、産官と顔が見える関係をつくることができて有意義だった。地域住民も参加し災害が発生した場合避難所を住民らで運営する意識が芽生えつつある」と話す。