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加古川の作家が夫の心の病を絵本に 家族や職場の理解深めるきっかけに

出版した本を持つ三野さん

出版した本を持つ三野さん

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 加古川などで作家として活動する三野直子さんが、6年前に突然夫が心の病になったきっかけから立ち直るまでを描いた絵本「あんこときなこ 心のにっき」を自費出版し、現在、加古川市内のカフェなどで閲覧することができる。

絵本の中の一ページ

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 同書は昨年10月に発行。猫好きの三野さんらしく、夫婦を猫に模した挿絵で表現し、読みやすいように文章は5行程度にまとめている。自身で手掛けたイラストや文章は講座に通って学んだ。三野さんは「多くの人の助けがあり出版ができた。しんどい時は本も見られないので文字数などにもこだわった。心の病気は見た目にも分かりづらく、周りに言えない本人も支える家族もつらい」と三野さん。「心の病気は恥ずかしくない。つらい時はSOSを出してほしい。絵本を通じて笑顔を広めていきたい」と話す。

 三野さんが「まじめで優しい人」と話す夫は、20年働いた勤務地から転勤したことをきっかけに双極性気分障がいを発症。仕事は上司から言われた一言で落ち込み退職することに。いったん病気の事を職場に告げずに再就職したものの、見た目は元気に見えるのでどんどん仕事が増え、2週間で退職することになった。現在は心の病気を隠さずに再就職し、職場の理解も得て意欲的に働いているという。

 夫が働くことができない状態の時には「なぜうちだけ」と夫を責めたこともあったという三野さん。三野さんを支えたのは母親や友達だったという。「大丈夫というのは魔法の言葉。周りに大丈夫と言ってくれる理解者が必要」と話す。

 本を読んだ病気の経験者や家族からは「分かる。こういう状態だった」と感想をもらうこともあると言う。三野さんは「本を通じて家族や職場の人と、病気についてコミュニケーションが取れ、理解が深まれば。誰かに話すだけでもすっきりする。一人で悩まないでほしい。今後は経験者や家族が話せる場もつくりたい」と話す。

 絵本は市内のカフェ「猫カフェnya-go」(加古川市東神吉町)、「カフェ&バーリリーベル」(同東神吉町)、「Cafe de LaLa」(同神野町)、「まどいせん」(高砂市高砂町魚町)などで閲覧できる。

 現在在庫はなく、購入希望者や福祉施設に配るためにクラウドファンディングで増刷を目指し、支援を呼び掛けている。

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